Googleの有料プランであるAI Proは「文章生成AI」だけではありません。
最新の「Veo 3」を使え、わずか数行のプロンプトから映画のような高品質動画を生成できます。
さらに「Nano Banana(Gemini 2.5 Flash Image)」を組み合わせれば、画像作成から動画化までを一気通貫で完結できるのです。
ただし、私自身もProプランに加入する前・直後は以下の疑問がありました。
- Nano Bananaのクオリティは実際どのレベル?
- Veo 3で「一度に複数枚生成」した場合のクレジット消費はどうなる?
- Geminiが提案するプロンプトをそのまま使ったとき、生成結果はどれくらい一致する?
この記事では、これらを実体験ベースで解説していきます。
画像編集・生成AI「Nano Banana」

「Nano Banana」はGemini 2.5 Flash Imageの別名で、無料で使える画像生成・編集AIです。
- 背景削除・オブジェクト消去
- アニメ風からリアル調までのスタイル変換
- キャラクターの一貫性を維持して複数画像を生成
特に動画化を前提としたキャラクター設計に強みがあります。
Nano Bananaの概要と「一貫性」維持のコツ
Nano Bananaの特筆すべき点は、「特定の被写体の見た目を保ちながら、服装や背景、ポーズだけをプロンプトで変更する」といった高度な編集が得意なことです。
これは後述するVeo 3と連携する場合、「特定のキャラクター」を動画内で動かすための非常に重要な準備ステップとなります。
一貫性のある画像を生成するコツは…?
- 明確な指示
-
「(被写体の詳細な特徴)を持った、写真のような〇〇」のように、被写体の見た目の特徴を詳細に記述します。
- ベース画像の活用
-
最初に生成した画像や、手持ちの人物写真をアップロードし、「この人物のまま、背景を森に変えて」と指示すると、安定した結果が得られやすいです。
【実体験Q&A】Nano BananaからVeo 3へ渡す画像の最適化
Veo 3で「画像から動画」を生成する場合、元の画像が動画のクオリティを大きく左右します。
ポイント | 詳細 | なぜ重要か? |
シンプルな背景 | 複雑な背景はAIが動きをつけにくい傾向がある。 | AIが意図しないノイズや歪み(アーティファクト)の発生を防ぐ。 |
被写体の全身 | 動画内のカメラワーク(パンやズーム)に対応できるよう全身を写す。 | 一部だけが切れるのを防ぎ、自然な動きを作り出しやすい。 |
動画生成AI「Veo 3」の実用性

Veo 3は、テキストから最長8秒の高品質な動画を生成できる最先端モデルです。
プラン | Veo3アクセスレベル | AIクレジット(月間) |
---|---|---|
Google AI Pro | Veo 3 Fastは月10本まで生成可 Veo 3は使用不可 | 1,000クレジット |
Google AI Ultra | Veo 3 Fastは正確な情報なし Veo 3は月125本まで生成可 | 25,000クレジット |

Veo3はGeminiとFlowで使えます。
Geminiは毎月の本数制限型、Flowはクレジット消費型です。
ややこしい…
Veo3はFlowというGeminiとは別のツールでも使用可能です。
Flowでは以下の料金・AIクレジットが適用されます。
モデル | 1生成あたりの消費クレジット | 月間生成可能数 | |
---|---|---|---|
Proプラン | Ultraプラン | ||
Veo 3 | 100 クレジット | 最大10本 | 最大125本 |
Veo 3 Fast | 20 クレジット | 最大50本 | 最大625本 |
海外では、クレジットを追加購入できるのでFlowはお金が許す限り無制限に生成可能です。
Geminiは本数制限なのでこれが大きく異なる点ですね!
この記事執筆時点では、クレジット追加は日本で解禁されていません。
Flowでは一度に同じプロンプトで1~4個の動画を生成可能です。
クレジットは動画本数換算です。
1度に4本の動画を作っても、1本ずつ4回に分けて生成しても消費クレジット数は変わりません。
【独自検証】GeminiとVeo 3の連携力
「最高の動画を生成したいけれど、どんなプロンプトが良いかわからない」という悩みは多いでしょう。
そこで、同じGoogleのAIであるGemini 2.5にプロンプトを考案させ、その通りに動画を生成する「AIによるAI生成」の再現度を検証しました。
Gemini 2.5に「こんな動画を作りたい」と相談して、何往復もやり取りをしてアイデアを固めました。
やり取りが長いのでここでは記載していませんが、動画のアイデア出しの段階では、『未来の漁師』という人間をフォーカスした動画に決めました。
プロンプト出力以来と、最終的なプロンプトは以下の通りです。
未来の漁師と言っているのに、開始画像が漁師ではなく潜水艦という点で既に怪しいのですが…
画像プロンプト(クリックで開く)
「高度な透明素材で作られた、流線型の未来的な潜水ドローン。エメラルドグリーンに輝くクリアな海水の中を静かに漂っている。ドローンのボディには、柔らかな青白い光を放つ複数のセンサーやレンズが埋め込まれている。背景には、色とりどりのサンゴが広がる健全な海底の様子が、少しぼやけた状態で見える。光は水面から差し込み、水中に神秘的な光の筋を作り出している。全体的に、清潔感があり、科学的でありながら自然と調和した未来の世界観を表現する。」
追加要素(オプション):
- ドローンの中央に「NANO BANANA」のロゴが小さく、しかし洗練されたフォントで表示されている。
- 魚群のシルエットがドローンの周りにいくつか見えるが、主役はドローンである。
動画プロンプト(クリックで開く)
未来的なデザインの透明な潜水ドローンが、穏やかなエメラルドグリーンの海中をゆっくりと移動している。ドローンには発光するセンサーが搭載されており、周囲の魚群を優しくスキャンしている。
次のカットでは、海底に広がるサンゴ礁の養殖場が見える。色とりどりのサンゴが生き生きと育ち、その間を小さな魚たちが泳ぎ回る。ドローンは養殖場の上を静かに通過し、健全な生態系を映し出す。
場面が変わり、海面に浮かぶスマートなデザインの浮遊基地(漁師の拠点)。透明なドームからは、内部の漁師がタブレット端末で海中のデータをチェックしている様子が見える。漁師は穏やかな表情で、海への敬意が感じられる。
ドローンが魚群を特定し、基地の漁師に情報を送信。漁師はタブレットで確認後、基地から小型の自律型捕獲ユニット(光と音で魚を誘導し、傷つけずに捕獲する仕組み)を発進させる。ユニットはターゲットの魚群へ向かう。
ユニットが魚群に接近し、柔らかな光を放ちながら魚を誘導する。魚たちは驚くことなく、自然な形でユニットの中へ入っていく。漁獲は必要最小限に抑えられ、持続可能性が重視されていることが伝わる。
捕獲ユニットが基地に戻り、自動で魚を貯蔵庫に搬入する様子が映し出される。漁師は満足げに、そして感謝の眼差しで海を見つめる。
最後のカットでは、夕暮れの空の下、広大な海と浮遊基地、そして遠くの水平線が映し出される。キャプションで「未来の漁師:テクノロジーと共存する海」のようなメッセージが表示され、平和で持続可能な未来を感じさせる。
映像のトーン:
- 色調: 明るく、透明感があり、エメラルドグリーン、スカイブルー、柔らかなオレンジ(夕日)を基調とする。
- 雰囲気: 静かで穏やか、科学的でありながら自然との調和を重視する。
- 音楽: 環境音楽のような、優しく未来的なアンビエントサウンド。
Geminiが提案した開始画像用のプロンプトをGemini内で画像出力(Nano Bananaで出力)し、ベースとなる画像を生成しました。


Veo 3にNano Bananaの画像とGeminiが提案した動画プロンプトを入力して動画を生成しました。
『未来の漁師』をどう解釈するかや、プロンプトをどれだけ忠実に守れているかの判断によって、正直これが高クオリティと言えるかどうかは変わるでしょう。
…が、プロンプトの理解やそもそものGeminiの出力したプロンプトはどうでしょうか?
やり取りが長いのでここでは記載していませんが、動画のアイデア出しの段階では、Geminiと『未来の漁師』について人間をフォーカスすることに決めていました。
ところが蓋を開けてみると、主役はドローンのように見えています…
また、Geminiが出力したプロンプトでは8秒以上の動画になってしまうようで、「自動で魚を貯蔵庫に搬入する様子」が動画内にはありませんでした。
結論:Google AI Proは「AI映像制作の決定版」か?
Google AI Proは、従来のチャットAIや画像生成AIとは一線を画す、「映像制作」に特化した最強のAIツールキットであると断言できます。
Proプランはこんな人におすすめ
おすすめ度 | ユーザー像 | 理由 |
★★★★★ | SNSクリエイター・YouTuber | Veo 3で高品質なフック動画を量産可能。 自分の動画をさらに充実させられる! Gemini連携でアイデア枯渇の心配なし。 |
★★★★☆ | Webマーケター・ブロガー | Nano Bananaで一貫性のある販促画像を、Veo 3で目を引く動画を手軽に制作。 職業柄、動画制作知識が浅いのが難点かも。 |
★★★☆☆ | AIを学びたい初心者 | 1,000クレジットで十分な動画生成を試せるため、AI学習の最初の一歩に最適。 ただしプロンプトの工夫が難しい。 |
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