かつてのSEOは、外部リンクの数と質がページ評価の絶対的な基準でした。
しかし、Googleのアルゴリズムは進化し続け、今では「リンクされていなくても“言及されていれば”評価する」という概念が加わっています。
この評価指標が「サイテーション(Citation)」です。
元は学術論文の世界で、ある研究に対して多くの論文が引用・言及することでその信頼性を高く評価する、という仕組み。
Googleもこの考えを検索アルゴリズムに取り入れ、ブランドや企業名が他サイトやSNSなどで言及されること自体が、信頼性評価の一部として組み込まれるようになっています。
サイテーションとは?SEOでの定義と重要性

サイテーションとは、他のWebサイトやSNSなどで、自社やサービス名が「リンクなしで言及されること」を意味します。
Googleは以下のような理由で、サイテーションを重要視しています。
- 多くの人が名前を挙げている=信頼性や影響力があると推測できる
- 有名なブランドや企業は、被リンクよりも言及の頻度が多くなる傾向にある
- 「自然発生的な声」を数値化する方法として有効
つまり、“この会社について書かれている記事が多い”こと自体がブランドの強さとして評価されるのです。
Googleの見解
✅ ソース:Google特許「US7716225B1」
タイトル: Ranking documents based on user behavior and/or feature data
リンク: Google Patents – US7716225B1
✅ 関連箇所の要旨(意訳)
- 検索順位を決定するモデルにおいて、リンクの「存在」だけでなく、リンクの「特徴」や「ユーザーの行動(選択の有無)」を評価に使う
- リンクが存在していない場合でも、“参照”や“コンテキスト”の特徴から評価できる構造
- 「ユーザーがどのリンクを選択したか」「どのドキュメントが共通して参照されたか」をモデルに反映する
つまり、“明示的なリンク(HTMLのaタグ)”ではなく、ある文書が他の文書で“言及”されている事実や文脈がランキングに用いられる可能性を示唆しています。
サイテーションを増やす5つの戦略的施策

それでは、どうすればサイテーションを増やし、Googleに評価されるブランドになれるのでしょうか?
実務的な観点で整理すると、以下の5つの施策が特に重要です。
① ブランド名の独自性と一貫性を保つ
最も重要なのは、検索エンジンが「この言葉は特定ブランドのものだ」と認識できる状態にすることです。
- 他社と被らないユニークな名称
- 「株式会社◯◯」ではなく「◯◯(サービス名)」で浸透させる
- 表記ゆれを避け、ブランド表記を常に統一(例:「SEOラボ」か「SEO-LAB」か)
② 話題にしたくなる仕掛けを用意する
ブランドが言及されるには、「何か言いたくなるネタ」を発信し続けることが鍵です。
- 業界初・話題性のある機能やサービス
- ユーザー参加型のキャンペーン・チャレンジ企画
- 新商品発表やイベント開催 → プレスリリース配信も併用

ユニークな行動は、“書く理由”や“共有する理由”になります。
③ ポータルサイト・レビューサイトへの掲載
検索エンジンは、比較サイト・レビューサイト・地域ポータルなどからの言及も評価に含めていると推測されています。
- 食べログ・ホットペッパーなど → 飲食業
- ミツモア・ゼヒトモ・エキテンなど → 地域密着型ビジネス
- Googleビジネスプロフィール → ローカルSEOにも直結
口コミや紹介文中にブランド名が登場することで、被リンクがなくても認識されるサイテーションシグナルが生まれます。
④ ソーシャルメディアの活用


SNSでブランドやサービスが日常的に言及されることで、話題性と存在感がGoogleに伝わります。
- ハッシュタグでの投稿を促進する(例:「#マイSEO体験」)
- 自社アカウントでも定期的にブランド名を含めた投稿を行う
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)の投稿キャンペーンを展開
⑤ 業界メディア・ブログで取り上げられる関係構築
自社の取り組みやプロダクトを、他者が紹介してくれる関係性を作ることが非常に有効です。
- 業界ニュースサイトへの寄稿・掲載依頼
- インフルエンサーやブロガーとの協力
- カンファレンス・登壇・講演を通じた名前の露出



長期的にブランド評価を蓄積していくには、「紹介される理由」を社外に持つことが不可欠です。
サイテーションと専門性・信頼性の関係
Googleは、検索評価の品質基準として「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」を掲げています。
この中で、サイテーションは特に「権威性(Authority)」と「信頼性(Trust)」を測る指標として機能します。
E-E-A-T項目 | サイテーションとの関係性 |
---|---|
経験 | 直接関係なし |
専門性 | 業界内での言及が支援 |
権威性 | 業界大手・メディアによる言及が強く影響 |
信頼性 | ユーザー評価・レビューでの名前登場が指標に |
つまり、他者が「この人・この会社は信頼できる」と語っていることが、そのままSEO上の評価として機能する時代なのです。
サイテーションを測定・監視する方法
被リンクはツールで追えますが、サイテーションはどうやって確認するのでしょうか?
以下の方法でサイテーションの状況を可視化できます。
✔ Google検索での調査
Google検索で以下の文言を検索します。
“ブランド名” -site:自社ドメイン
- 自社以外でブランド名が使われているページを確認
- 表記ゆれ(全角・半角・カタカナ・英語)に注意
✔ Googleアラートの設定
ブランド名でアラート登録 → 言及されたタイミングで通知
✔ SNS分析ツール(Social Insight、Brandwatchなど)
ハッシュタグやキーワードでブランド名の拡散状況をチェック


まとめ
リンクがなくても信頼されるサイトへ
サイテーションは、“人々の記憶と会話”が検索評価につながる時代の証です。
自らの手でリンクを集める時代から、「言及される存在になること」が評価の基準へと変わりつつあります。
- 名前を言われる=影響力がある
- 記事で紹介される=信頼されている
- 検索される=関心を持たれている
ブランドの信頼は、数字ではなく「語られる量と質」で証明されていきます。
サイテーションを戦略的に増やすことが、SEOとブランド戦略の両立を実現するカギになるのです。
コメント・ご指摘などあればこちらへ!